僕はどんな常識でも疑ってみたくなる事があります。
そこで、今回はヴォイトレ最大の常識である腹式呼吸の必要性について考えてみたいと思います。
まず生きている人間は必ず呼吸をしていますが、その方式は胸式呼吸と腹式呼吸に分けられます。
簡単に説明すると胸式呼吸は横隔膜を動かさない呼吸。
肩が上がり肋骨が膨らんで息を吸っているのが感じられますよね。
よく『深呼吸して』って言うと殆どの方が使うあの呼吸です。
対する腹式呼吸は横隔膜を上下させて呼吸します。
息を吸うとお腹が膨らんでみえますね。
では、本題に戻りましょう。
昔から歌などに絶対必要とされている腹式呼吸って本当に必要なの?
たまたまその日レッスンだった、ミエルズのレッスン生のみなさんにも協力して頂いた、
実験結果を基に検証してみましょう。
ロングトーン
まっすぐに声を伸ばすロングトーンでは、どちらの呼吸が苦しまずに長く伸ばせるか?
腹式呼吸では多くの人が20~30秒伸ばせるのに対して、胸式呼吸では平均して15秒程でした。
しかも胸式は苦しい!腹式有利!
クイックブレス
アップテンポの曲でよく使う、リズムにあわせてわずかな瞬間(休符)に使う呼吸を僕はこう呼んでいます。
胸式呼吸で行うと、やって出来ないことは無いもののリズムが遅れがちで息苦しさを感じてます。
腹式呼吸なら出した息を戻すだけのシンプルなアクションで素早く呼吸出来ています。
ウン!水泳のブレスとまったく一緒ね。
腹式呼吸の一歩リードか!
音圧、声量
聴感上の話になりますが、腹筋の影響を受けない胸式呼吸でパワフルな声を出すのは有り得ないくらい難しいものです。
ここでも腹式呼吸の勝ち。
喉の脱力
発声や音程をコントロールしている声帯まわりはいつでもリラックスしていたいですね。
楽な音域と少ない声量で歌う分には、どちらも差が無い結果になりました。
では高音域ではどうでしょう?
喉まわりはガッチガチ!音程も届きにくくなります。
腹式呼吸の圧倒的有利!
検証結果
やはり腹式呼吸が必要だというのは本当です。
もし、実験対象がプロなら胸式呼吸でも高音を楽に出せたり、実験結果も微妙に変化するでしょう。
ですが、ビギナーの方こそ腹式呼吸で基本を確実にマスターして欲しいと改めて思いました。
そして、実験にご協力頂いたレッスン生のみなさん有難うございました!
実はこの腹式呼吸。
自律神経やメンタル面でのメリットも含めると、まだまだ面白い話がたくさん有るのです。
あがり症、不眠、頭痛などにも良い効果が期待出来るといわれています。
その辺りも、またいつかお話ししますね。
お楽しみに☆